1. はじめに
花粉症の長男のためにアルミフレームを使ってサンルームをDIYしました。
うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。
外気より温度が高い温室を作れたのですが、実際に洗濯物を干すとなかなか乾きません。
そこでサンルームを造って洗濯物を乾燥させて天気干しと何度も比較してきました。
その結果、洗濯物がどのように乾燥するのか、どうすれば速く乾くのか、
少しわかってきた気がします。
これまでの調査結果をまとめて紹介します。
2. 温度を上げただけでは乾かない!?
サンルームは花粉対策で造ったものでしたが、温度上昇による乾燥促進も狙っていました。
しかし結果は効果なし!
今回の結果では5℃程度の温度上昇において乾燥速度が著しく改善しませんでした。
むしろ外干しと比較すると圧倒的に乾きが悪く、生乾きの臭いがするくらいです。
では何故、温度が高いのに乾きが遅いのでしょうか?
それはサンルーム内の湿度を測定することで解りました。
つまり原因は洗濯物から出た水蒸気がサンルーム内にこもり、ルーム内の湿度を上げたため
新たな蒸発ができなかったことにあります。
例えばたまに洗濯物が干してあるサンルームで結露しているのを見かけませんか?
これも同じ現象でサンルーム内の湿度が高く飽和状態に近いことを意味しています。
こうなるといくら温度が高くてもサンルーム内の空気中に蓄えられる水蒸気に余裕がなく、
結果的に洗濯物が乾きません。
3. 除湿や水蒸気排出が重要!
脱水後の洗濯物がどれくらい水分を含んでいるかご存知ですか?
これは素材によって異なりますが、綿素材で約30%、ポリエステル素材で約20%です。
そのため一般的な家庭の洗濯物では脱水後の重量の約25%が水分です。
衣類の素材や形状に注目して30分毎の重量を計測しながら乾燥速度や含水率を測定しました。その結果、素材は脱水後の吸水率に影響し、衣類形状は乾燥速度に影響していました。脱水回数を増やして重量を計測しましたが、変わらない結果となっています。
仮に脱水後の洗濯物の重さが5kgであったら、約1.3kgほどの水分が蒸発します。
外干しであればこの程度の水蒸気はすぐに拡散されて湿度が変化することはありませんが、
サンルーム内では大問題です。
この水蒸気を外に素早く排出できなければサンルーム内は飽和して乾かなくなります。
つまりサンルームで干す場合も除湿や換気ということがとても重要になるのです。
自作したサンルームで床材を合板から石膏ボードに変えたところ乾燥速度が速くなりました。
サンルームで速く乾かせるように改造を実施して再び外干しと比較しました。ここでは1時間ごとにタオルの重量を測ることで乾燥速度を評価します。サンルーム内の除湿ルートを作り、扇風機を設置して風を当てながら乾かした結果、ようやく外干しと同等以上に乾かせるようになりました。
4. 洗濯物に風が当たらない
サンルームのもう一つの弱点は風が当たらないことです。
実は洗濯物の乾燥に最も影響があるのがこの風の影響です。
洗濯物の乾燥とは洗濯物の水分を蒸発させて外部へ放出する現象です。
この蒸発にはマクロ的要因とミクロ的要因があります。
マクロ的要因とは温度や湿度といった温湿度環境による要因です。
大気中には蓄えられる水蒸気の量が決まっていて、その飽和量に近づくと
蒸発しないように抑える力が働きます。
温度が高く、湿度が低いと飽和量が多く抑える力は小さいですが、
逆に温度が低く、湿度が高いと蒸発を抑える力がとても大きくなります。
ミクロ的要因とは洗濯物の表面に存在する水蒸気膜の影響です。
洗濯物から蒸発した水蒸気はすぐに大気中に拡散せずに、洗濯物表面に膜のように
存在しています。
この膜を境膜と言いますが、これが更なる蒸発を邪魔しています。
風はこの境膜を剥がしてくれるので、洗濯物が蒸発しやすくなります。
洗濯物が乾く原理を詳しく説明しています。洗濯物を速く乾かす場合、すぐに温度を上げると考えますが、それは正しくありません。乾燥には温度や湿度も重要ですが、それ以上に風が重要です。この風がどのように働いているかを理解すれば洗濯物が速く乾かせます。
しかしサンルーム内は密閉空間なので基本的に風はありません。
そのため蒸発した水蒸気が洗濯物表面に多く存在して乾きにくくなってしまいます。
5. 速く乾かすコツは?
洗濯物を速く乾かす意味でサンルームの欠点は次の2つです。
①サンルーム内容積が狭く、水蒸気が飽和しやすい。
②サンルーム内に風がなく、洗濯物表面に水蒸気膜ができる。
そこでこれらの欠点を改善してより速く乾かす方法はこちらです。
例えばリビングからつながる扉があればそこを開けて開放しましょう。
また外につながる扉がある場合はそちらを開けても結構です。
極力、開放的にして水蒸気が逃げるルートを確保します。
洗濯物に風を当てるために扇風機を設置して風を当てましょう。
万遍なく風を当てるために複数台使用することをオススメします。
扇風機の電気代は1時間当たり数円なので他の家電に比べれば微々たるものです。
部屋干しでは乾燥機付き洗濯機も含めて様々な家電が販売されています。ここでは各家電の特徴、電気代のシミュレーションを行っています。電気代の計算式もありますので、実際に自宅で使用されている家電がどれくらいの電気代となっているか計算されてみては如何ですか?
しかしこれだとサンルームを作った意味がなくなってしまうように感じるかもしれません。
私は色々試した結果、最終的には不要という結果に落ち着きました。
単にガラスで覆ったサンルームは洗濯物を乾かすには適していません。
もしサンルームを検討されるならば除湿ルートなどを十分考慮するようにしてください。
6. さいごに
サンルームを自作してみましたが、最終的に洗濯物を乾燥させるためには必要ありません。
サンルームの仕様や作りにもよりますが、むしろ乾きにくくなると感じました。
ではどうすれば外干しせずに洗濯物を速く乾かせるのでしょうか?
答えは簡単です!!
それは、「部屋干し」です。
何やら本末転倒な結果となっていますが、このような調査を繰り返すことで、
今は100%部屋干しになりました。
重要な事は、「どのように部屋干しするのか」です。
部屋干しにはコツがあり、干し方によって乾燥時間に雲泥の差がでます。
私はこの調査を通して、
洗濯物がどのように乾くのか
温度や湿度がどのように影響するのか
風があるとどのように良いのか
など知ることが出来ました。
また実際に温度や湿度、洗濯物の重量を計測することで、より具体的な数字として
とらえることもできました。
そしてこの経験を踏まえて、部屋干し用の回転式乾燥スタンドを自作してみました。
これを使えば部屋干しにも関わらず、
日中だと2時間程度
夜間だと3時間程度
雨天時は4時間程度
で乾かすことができます。
これは扇風機の風を洗濯物に当てるだけでなく、
その風力を利用して洗濯物を回転させる乾燥スタンドです。
港町で見るイカの天気干し機のようなものです。
乾燥スタンドは別の記事でまとめていますので、作り方や乾燥時間データなど、
詳細はこちらを参考下さい。
サンルームで検討した経験をもとに、部屋干しでもあっという間に乾かせる回転式乾燥スタンドを自作DIYしました。扇風機の風を当てると洗濯物がくるくる回転して万遍なく均一に乾かすことができます。蒸発した水蒸気も効率よく排出し、扇風機だけで乾くので電気代も10円程度で済みますよ。
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詳しいサポート内容や進め方はこちらで説明しています。
またこれまでのサポート事例はこちら。
「サポート事例集」
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