1. はじめに
アルミパイプはコネクタと呼ばれる連結部品で
組立てることを説明しました。
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(参考記事)
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しかしこのコネクタはパイプを爪で単に挟む
だけの構造となっています。
せっかくアルミパイプの強度を考慮して
作ってもコネクタで滑ってしまっては
意味がありません。
それではコネクタにどれくらいの強度があって、
どの程度の荷重までかけられるか、
ここではご紹介します。
2. コネクタの連結方法
パイプを連結するときコネクタのボルトを
締めこんで爪で挟むことで固定します。
もう一方のパイプはコネクタ内で挟み込んで
固定されています。
つまりこのボルト1本で2本のパイプを挟む
構造となっているのです。
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(参考記事)
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ボルト1本だけで2本のパイプを
どれぐらい保持できるのでしょうか?
3. コネクタ強度の種類
コネクタの強度は使用方法によって分けて
考える必要があります。
3.1 すべり荷重
写真のようにパイプどうしを連結した際に
縦方向からコネクタを抑える荷重です。
この荷重以上に力を加えると爪で挟んだ部分が
滑ってしまいます。
この荷重はコネクタ自体に荷重を加えた場合で
コネクタに挿入しているパイプに荷重を加えた
場合ではありません。
パイプに荷重を加える場合は後述する
モーメント荷重を参考にしてください。
すべり荷重は、例えばコネクタの上に物を
ぶら下げたり、別のパイプを載せたりするときに
必要となる耐荷重です。
3.2 引き抜き荷重
写真のようにパイプどうしを連結した際に
横方向にパイプを引っ張る荷重のことです。
この荷重以上で引っ張るとパイプが
コネクタから抜けてしまいます。
引き抜き荷重は、例えば上からコネクタを
使ってパイプを吊るして、そこに物かける
ときに使用します。
3.3 モーメント荷重
こちらが最も重要な荷重となります。
すべり荷重と似ていますが、
モーメント荷重の方が耐荷重小さいため
こちらを優先的に考える必要があります。
モーメント荷重とは写真のように、
パイプどうしを連結した際に横方向の
パイプに上から力を加えた荷重です。
モーメント荷重はコネクタからの距離によって
変化し、距離が長くなるほど弱くなります。
例えば、モーメント荷重が1[kgf・m]の場合、
コネクタからの距離Lと荷重Wは次の通りです。
L=500mm ・・・ W:2kg
L=1000mm ・・・ W:1kg
L=2000mm ・・・ W:0.5kg
またモーメント荷重はコネクタの向きによって、
縦と横があります。
3.3.1 モーメント荷重(縦)
荷重をかける方向とコネクタ爪が平行
になった場合のモーメント荷重のことです。
こちらは働く力に対してトルクが強く、
耐荷重が大きくなります。
3.3.2 モーメント荷重(横)
荷重をかける方向とコネクタ爪が直交する
場合のモーメント荷重のことです。
こちらは働く力に対してトルクが小さく、
耐荷重は小さくなります。
4. 各コネクタの耐荷重表
一般的によく使用されるコネクタの耐荷重を
サイズ別、コネクタ形状別にまとめてみました。
使用するパイプ径が大きいほど、
コネクタの各耐荷重も大きくなります。
またアウター型とインナー型でも耐荷重が
異なっています。
注意すべき点はモーメント荷重です。
縦と横では大きな違いがありますので、
使用する方向を必ずチェックしてください。
パイプ径 | コネクタ種類 | 滑り荷重[kgf] | 引抜荷重[kgf] | モーメント荷重[kgf・m] | |
縦 | 横 | ||||
φ43 | アウター型 | 250 | 69 | 6.6 | 1.5 |
インナー型 | 170 | 100 | 5.0 | 3.0 | |
φ28 | アウター型 | 80 | 42 | 1.1 | 0.6 |
インナー型 | 80 | 42 | 0.9 | 0.6 | |
φ19 | アウター型 | 28 | 40 | 0.3 | 0.1 |
インナー型 | 15 | 21 | 0.6 | 0.2 |
(単位換算 10[N]≒1[kgf])
コネクタは爪でパイプを挟んでいるだけですが、
これを見ると意外と耐荷重があります。
一般的なφ28パイプのコネクタの滑り荷重は、
アルミフレーム30mm角のブラケットよりも
強くなっています。
しかし全体的にモーメント荷重がブラケットに
比べて弱い傾向にあります。
ブラケットは受ける面が広いため
モーメント的に有利ですが、
コネクタは受ける面が狭いので
弱くなっています。
フレームかパイプのどちらを使うか迷う際は
どのような荷重が加わるか、など
事前に確認しておくことをオススメします。
5. その他コネクタの耐荷重表
次に他の使用頻度の高いコネクタの
耐荷重をまとめてみました。
またコネクタの詳細については、
以下の参考記事を参照ください。
(参考記事)
パイプ径 | コネクタ種類 | 滑り荷重[kgf] | 引抜荷重[kgf] | モーメント荷重[kgf・m] | |
縦 | 横 | ||||
φ28-φ19 | 変換 | 28 | 50 | 0.4 | 0.3 |
φ28 | ヒンジ | – | – | 6.4 | – |
φ28 | ポイント | 140 | – | 12.0 | – |
φ28 | クロス | 90 | – | 4.0 | 4.0 |
φ28 | ストッパー | 75 | – | – | – |
φ19 | ポイント | 54 | – | 1.7 | 0.2 |
(単位換算 10[N]≒1[kgf])
コネクタの種類により耐荷重は異なっており
それぞれ特徴があります。
これらの特徴を踏まえて、使用環境や
要求耐荷重を考慮し部品選定をして下さい。
そうすることで小さい物から大きい物まで
アルミパイプで自由に作れるようになります。
6. さいごに
アルミパイプの連結部品であるコネクタの
耐荷重をみてきました。
コネクタは爪で挟んで固定しているため、
一見、弱そうに見えますが十分な耐荷重を
持っていることがわかりました。
パイプ径によってコネクタの耐荷重も変化し、
径が細くなると耐荷重が著しく低下します。
そのためφ19パイプでは耐荷重を必要とする
構造体を作ることは難しく、φ28パイプ以上を
使用する方がよいでしょう。
また耐荷重を上げたいときには、補強用の
コネクタを使うことで大きく改善できます。
コネクタの弱点はモーメント荷重です。
そのためなるべくコネクタから離れた場所に
荷重がかからないように設計してください。
この記事が皆様のDIYのお役に立てることを
願っています。
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初めて挑戦したい方にはお助けサポートも
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