アルミフレームやパイプは長さを指定して購入できますが、
組み立てていると途中で切断することも多々あります。
金属であるアルミフレームはどのように切断すればよいのでしょうか?
ここでは私が試したアルミフレーム、パイプの加工方法をいくつか紹介します。
1. アルミの特徴
まずはアルミがどんな金属かを簡単に説明します。
アルミはステンレスや鉄など一般的な金属に比べて次の特徴があります。
・他の金属に比べて軽い(比重が小さい)
・水にぬれても錆びない
・鉄やステンレスより柔らかい
・鉄やステンレスより強度が弱い
アルミは鉄やステンレスに比べて強度が弱くて柔らかいのが特徴です。
ただしこれはあくまで鉄と比較して弱いというだけで、木材と比べるとアルミの方が
当然強度があります。
アルミの切断や穴あけ加工はしやすいものの、精密加工や溶接が難しいとも言われています。
他の特徴として水にぬれても錆びないので屋外や水回り付近で使用することも可能です。
アルミフレームやパイプはホームセンターにある工具があれば十分加工できます。
ではどの工具が加工に向いているか実際に切断して比較してみました。
2. 切断工具の種類
最近ではホームセンターの品ぞろえも充実しており、金属を切断できる
工作機や工具も多く販売されています。
そこで一般的に入手可能な工具について、実際に切断した様子も見ながら
説明していきます。
ここで紹介する工作機や工具は以下の物です。
・高速カッター
・バンドソー
・チップソー
・糸鋸、コンターマシン
・金属用ハンディソー
いずれもちょっと大きなホームセンターで販売されているものです。
上から4つまでは電動工具なので簡単に切断することができます。
しかし取扱いに注意が必要な工具もあるので、あまり慣れていない方は
金属用ハンディソーがよいかもしれません。
こちらは金属用の鋸なので万が一怪我をしてもバンドエイド程度で済みます。
2.1 高速カッター
高速カッターとは切断砥石と呼ばれる刃が高速で回転して対象物を切断する工具です。
ハンディなものはデスクグラインダー、据え置きのものを高速カッターと呼ばれています。
いずれも金属切断が可能でアルミを楽に切断します。
回転数が速く切断時に火花が飛ぶので初めて使うときは驚くかもしれません。
回転数が速くて誤って怪我をすると大事になるので慣れない人は避けた方がよいと思います。
費用は安いものは数万円から購入できます。
高速カッターは砥石を使うので取扱いに十分に注意してください。
高速カッターでアルミフレームを切断すると切断面に多くのバリが出ます。
カットも斜めになりやすいので、アルミフレームやパイプの切断には
あまり適していません。
2.2 バンドソー
バンドソーとは帯状の鋸刃が動いて切断する工具です。
鋸刃が自動で動きますが、高速カッターのように速くはないので比較的安全に使えます。
それでも衣類や手袋が巻き込まれると怪我をするので取扱いには注意してください。
私はこのバンドソーを便利でよく使用しています。
フレームをこのようにクランプするので直角にカット出来て面が斜めになりません。
タイプによってはクランプ角度を調整して斜めに切断することもできます。
据付やハンディタイプなどありますが、ホームセンターにはあまり置いてません。
費用は高速カッターよりも高くなっています。
バンドソーでアルミフレームを切断すると高速カッターよりも断然バリが少なく、
キレイにカットすることができます。
2.3 丸鋸、チップソー
フレームメーカの加工具はチップソーとなっているので紹介します。
これは円盤状刃物を高速回転させて切断する工具です。
動きは高速カッターと同じで取り扱う回転刃が砥石なのか、金属のチップソーなのでが
違うだけです。
そのため取扱いを間違えると怪我をするので注意が必要です。
これはホームセンターで販売されておりバンドソーよりも安いです。
チップソーを使ってアルミフレームを切断したことがないので、
どのような切断面になるかはわかりません。
しかしメーカが使っているので大丈夫だと思います。
2.4 糸鋸、コンターマシン
糸鋸やコンターマシンなど帯鋸を使った切断機でもアルミフレームを切断できます。
コンターマシンは試し切りしましたが、カット面はキレイで切断できました。
切断面はバンドソーと同じと考えて下さい。
ただしまっすぐ切断するのが難しく、すぐに斜めに切れてしまいます。
治具やスタンドを用意して当てながら切断すると直角がでそうですね。
糸鋸は刃が弱いのでゆっくり切断すれば切れると思います。
しかしながら家庭で使用できる工具ではありません。
2.5 ハンディーソー
これは金属用のノコギリで木材用に比べて刃のピッチが細かくなっています。
ホームセンターや100均で購入することができます。
アルミフレームは20mm角で厚みがありますが、ハンディーソーで切断することができます。
ただ30mm以上のアルミフレームの切断はちょっと大変ですね。
アルミパイプは比較的切断しやすいです。
実際に切断している動画がこちらになります。
多分、皆さんが思っている以上に簡単に切断することができます。
ハンディーソーは厚い物が切れないのでアルミフレームも一方向のみでは切断できません。
そのためフレームの4面にしるしを入れて、各面から切断しなければなりません。
切断面は凹凸が出やすいので最後にヤスリで面を出す必要があります。
木材のように簡単に切れないので1本切断するのに5分ほどかかります。
「LINK YOUR DESIGN」という共同DIYをおこなっていますが、
コストダウンのために相談者の方に切断してもらうこともよくあります。
意外と簡単に切断できるので初めての人も難なく加工できますよ。
こちらは相談者の方が実際に切断された事例です。
大阪在住のMさんからキャンターで車中泊できるフラットベッドを製作したいとの相談がありました。そこでアルミパイプとパーティクルボードで折りたたみ式のベッドを共同DIYしました。Mさんに車内寸法を計測してもらい私がベッドを設計します。途中、パイプが長すぎる問題が発生しましたが、パイプの加工方法をお知らせすることで解決して無事にベッドが完成です。
以上が一般的な切断工具となります。
私のオススメはバンドソーかチップソー、もしくはハンディーソーですね。
あまりDIYをしない人はハンディーソーで十分だと思います。
バンドソーはおおよそ5~15万円、
チップソーがおおよそ2万円~10万円、
ハンディーソーが1000円~3000円、
電動の工作機では費用面でチップソーがいいかもしれません。
アルミを切断すると必ずバリが発生するのでヤスリでバリを除去しましょう。
カットした断面をそのままにすると怪我をしやすいので
アクセサリ部品のキャップを取り付けるいいですね。
アルミフレームやパイプには便利なアクセサリ部品が純正で販売されています。例えばフレーム溝でナットを固定するフォルダーや後入れナット、端面に取付けるキャップなどがあります。ここでは私が実際に使用して便利だったアクセサリーを紹介しています。
自宅でアルミフレームを使ったDIY時には必ずフレームを切断する必要が出てきます。
アルミフレームもパイプも同じ工具で切断することができます。
そのためいずれかの切断工具を購入することをオススメします。
3. 穴あけ加工
アルミは金属の中で柔らかい部類であり簡単に穴あけ加工ができます。
ステンレスや鉄に比べると圧倒的に簡単です。
電動ドライバーと金物用のドリルがあれば簡単に穴があきます。
そのため穴あけをしてタップを加工してボルトを取り付けることやタッピングビスを
取り付けることもできます。
アルミパイプもタップを加工できる肉厚があるのでボルトやタッピングビスが使えます。
イレクターパイプは肉厚が薄くタップ加工ができません。
こちらは実際にアルミパイプφ28mmにM4のタップ穴加工をしている様子です。
100均にある工具だけで簡単にタップ穴加工ができます。
こちらは相談者の方が自分で初めて加工された事例です。
部品選定だけでなく加工や作業もサポートしていますので初めての方も安心ですよ。
アルミパイプを使って天井から吊るすホームシアター用のスクリーンを共同DIYしました。元々イレクターパイプを使われていましたが、スクリーンの重さに耐えきれず落ちてしまいます。そこで強度が高いアルミパイプで置き換えることでたわみを大きく改善したロールスクリーンが完成しました。
またアルミパイプはスクリュービスを使って簡単に波板を固定できるので、
屋根や目隠しを作りたい場合に適しています。
断面部分にはすでに穴が開いているのでそこにタップをきればすぐにボルトの
取付けができるようになります。
(30×30)フレームではM8のタップ
(20×20)フレームではM5のタップ
また四隅の穴にもタップ加工ができるので板や部品を取り付ける際に便利ですよ。
4. さいごに
家庭のDIYでアルミを利用することが少なく加工が難しいように思うかもしれませんが、
慣れてしまえば簡単な作業です。
あまり特殊な工具も必要としません。
切断や穴あけ加工をすることでアルミを使ったDIYの幅が大きく広がります。
最後のこのように便利なアルミフレームやパイプの購入方法ですが、
実はホームセンターなどではほとんど販売されていません。
一般的にはミスミやモノタロウといったweb商社を経由して購入できますが、
個人購入はなかなか難しいかもしれません。
しかも自分で必要な部品の長さや種類、数量を調べてそれぞれ注文するので
手配するのも大変です。
しかし「LINK YOUR DESIGN」を利用すればメルカリなどを使って
手軽にアルミフレームやアルミパイプを購入することができます。
しかも既に設計されて必要部品の種類や数量がまとまった部品リストが手に入り、
注文も一括で一回で済みます。
詳しい内容はこちらをご覧ください。
アルミフレームやパイプの欠点は入手性の悪さです。ホームセンターでは販売されておらずほとんどネット販売のみです。一般的にはミスミやモノタロウなどのweb商社経由で購入しますが、個人では難しいです。しかしメルカリなどでも購入でき、必要部品を一括購入できる方法がここにはありますよ。
アルミフレームやアルミパイプを動画で学びませんか?
フレームDIYラボでは色んな動画を用意しており、アルミフレームに興味がある方が
さらに詳しく学べるように努めています。
まだまだ作成途中ですが、こんな動画が見たいというリクエストがあれば
問い合わせフォームから御連絡下さい。
アルミフレームやアルミパイプの基礎から応用まで動画を見ながら学びませんか?ここではアルミフレームの特徴や加工方法、3D CADの使い方、各種部品を使った応用まで幅広く動画で説明しています。アルミDIYの基礎から学んだり、自分の興味ある部品だけ確認のために見ることもできます。初めて扱う方でも安心して利用できることを心がけて動画を作成しています。
アルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒にしてみませんか?
DIYする時間や工具がない
普段DIYをしないので自信がない
そんな方にも安心で手間がかからず欲しい物が手に入る共同DIYです。
まず設計や構想は御自分で考えて欲しいものをイメージしてください。
もし自分で加工から組み立てまでされる方は必要に応じてアドバイスを致しますし、
手間な部品手配や加工をしたくない方はこちらで実施して組み立てる状態の部品を
お送りすることもできます。
初めて使う材料で不安な方も安心してチャレンジすることができますよ。
気に入った物が見つからない場合は試してみては如何でしょうか?
詳しいサポート内容や進め方はこちらで説明しています。
またこれまでのサポート事例はこちら。
「サポート事例集」
より詳しくアルミフレームやアルミパイプを知りたい方は動画で実物を使った説明や
実際にDIYしている様子を見ることができます。
実際に私がアルミフレームやパイプを使ってDIYした作品がこちらから見れますので
興味があればご覧ください。
野地板とアルミパイプを使って高さ1.8m、幅8mの目隠しフェンスをDIYしました。独立基礎を作ってそこにアルミパイプを建てて塗装した野地板を貼り付けます。板の貼り方を工夫したことで目線が隠れて風が抜けるフェンスとなっています。しかも製作費用はナント5万円以下!?
アルミフレームを使ってキッチンに壁収納を作りました。壁を傷付ける事なく、アルミフレームを突っ張り棒のように固定して他の部品を組み立てていきます。アルミは燃えないので火の回りで使っても安心。しかも100均部品を利用したからくりがあります。右の写真でテーブルがありますが、どこか判りますか?
住んでいる家の洗面室がとても狭く、家族4人分の着替えや洗剤などを置く収納場所がありません。そこでアルミフレームを使って洗濯機の上やちょっとしたスペースを有効的に利用できる収納棚を作りました。市販品の棚だとどうしても無駄なスペースが出来ますが、自分で設計して作れば最適。しかも100均を利用して費用も抑えました。
住んでいる賃貸住宅には軒や屋根がなく、洗濯物を干したり自転車を雨から避ける場所がありません。そこでアルミパイプを使って幅4mもあるテラス屋根を作りました。特徴は壁を傷付けたりコンクリートを使用せずにいつでも元に戻せること、目隠し壁まで取り付けても費用は4万円台という点です。
うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。
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(参考ページ)