ブラケットの耐荷重、どれくらい強い?

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1. はじめに

これまでアルミフレーム単体やBOX構造の

強度を説明してきました。

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(参考記事)

 アルミフレームの強度計算

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次に注意するのはブラケットの耐荷重です。

一見、フレームが大きければ強いような印象を

受けますが、それだけでは不十分です。

実はフレームどうしを結合するブラケットが

適正でなければ構造体は見た目よりも

はるかに弱くなってしまいます。

これと似たことが住宅でもありました。

住宅耐震では柱を太くすると思われがちですが

柱の太さはほとんど関係ありません。

それよりも筋交や耐力壁の強度が重要です。

しかしそれでは見落としがちなものがあります。

それは柱を結合する金物です。

%e4%bd%8f%e5%ae%85%e9%87%91%e7%89%a9

以前の住宅ではこの金物のルールがあいまいで

十分ではありませんでした。

それが1つの要因で阪神大震災ではたくさんの

木造住宅が崩壊したと聞いたことがあります。

その後、金物の種類や強度が細かく決められ、

住宅設計時には欠かせない計算となりました。




2. ブラケットの耐荷重とは?

アルミフレーム構造体も同じです。

フレームだけでなく、ブラケットも想定する

使用環境下で十分か検討しなければなりません。

耐荷重はすべりモーメント

評価されます。

2.1 ブラケットのすべり

すべりとはブラケットのすぐ上から荷重を

かけたときにブラケットがずれる荷重です。

前提としてブラケットを固定するボルトの

締め付けトルクが規定値以上となります。

このすべり荷重以上の物を載せてしまうと、

ブラケットが重さに負けて下がってしまいます。

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ブラケットのすべり

2.2 ブラケットのモーメント

これはブラケットのすぐ上ではなく、

離れた場所に荷重を加えた場合の強さです。

経験的に固定箇所から離れた場所に力を

加えるほど壊れやすいですよね。

それを表したもので、モーメントが大きいほど

強いということになります。

ブラケットのモーメント

ブラケットのモーメント

一般的にすべり荷重よりもモーメント荷重の方が

小さくなります。

すべりやモーメントはブラケットの種類、

使い方で変わってきます。

例えば上の絵ではブラケットをフレームの

下から支えるように使っていますが、上から

吊るすように使うとモーメントは変化します。

そこでブラケットの種類と使い方をいくつか

想定してそこでの強度をまとめたいと思います。

3. ブラケットの種類と荷重方法

次にブラケットの耐荷重を見ていきます。

ここでは一般タイプと高強度タイプを紹介します。

img_2503

左: 一般タイプ   右: 高強度タイプ

いずれのブラケットもフレームにはまる突起が

裏にあり左右にずれないようになっています。

ナットとボルトは共通で、ボルトの締め付け

トルクは7.4[N・m]とします。

固定方法と荷重方向は次の通りです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(荷重方法)

 ①ブラケット1個で下から支える

 ②ブラケット1個で上から吊るす

 ③ブラケット2個で上下で固定する

 ④ブラケット1個で横から荷重を加えた

 ⑤ブラケット2個で横から荷重を加えた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①、②、③は荷重をブラケットと水平に加え、

④、⑤は荷重をブラケットと垂直に加えてます。

前者が同一面上と後者が垂直面上となります。

①ブラケット1個で下から支える

①片持ち 下支え

②ブラケット1個で上から吊るす

②片持ち 上吊るし

③ブラケット2個で上下で固定する

③両持ち

④ブラケット1個で横から荷重を加えた

④片持ち 垂直荷重

⑤ブラケット2個で横から荷重を加えた

⑤両持ち 垂直荷重

4. ブラケットの耐荷重

フレームサイズは(20×20)mmタイプです。

他サイズのデータもありますので、必要であれば

御連絡ください。

すべりとモーメントの結果を表にまとめました。

この数字までは使用できると考えて下さい。

モーメントは1m離れた地点に荷重を

加えた場合となっています。

もし0.5m離れた地点だと表中数字の2倍、

2m離れた地点だと表中数字の0.5倍が

使用できるモーメントとなります。

片持ちの場合、高強度タイプの方が

2倍ほどモーメントが大きくなります。

すべりはボルトの締め付けが主に働くため

ブラケットの種類で大きな違いはありません。

面白いのはブラケットの取り付け方向と荷重の

方向によるモーメントの違いです。

荷重を加える方に設置した方が

モーメントが4倍ほど大きくなります。

これは覚えていたほうがよいと思います。

垂直荷重は片持ち、両持ち違いはありません。

一般タイプ高強度タイプ
すべり[N]モーメント[N・m]すべり[N]モーメント[N・m]
①片持ち 下支え3823.63756.7
②片持ち 上吊るし12.827.4
③両持ち76226.075036.6
④片持ち 垂直荷重2.01.9
⑤両持ち 垂直荷重6.97.1

5. さいごに

ブラケットの種類や使い方によって

モーメントが大きく変わります。

組み合わせで5倍以上の違いがでます。

そのため使用環境や想定荷重により最適な

ブラケットや使い方を選択しましょう。

最後ににこれまで私が製作した物の中で

大人が載っても大丈夫だった物を紹介します。

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(参考記事)

   「モビリオ車中泊用ベッド

アルト車中泊用ベッド

洗濯物を干せるサンルーム

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今までアルミフレームを使ったことがなく、

初めて挑戦したい方にお助けアドバイスを

無料で実施していますので、

御質問、御相談等はお気軽に連絡下さい。

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(参考ページ)

  1. 家庭DIYで使用する部材

  2. アルミ部品の種類

   2.1 アルミフレーム

    2.1.1 アルミフレームの加工方法

    2.1.2 アルミフレームの耐荷重

   2.2 ブラケット

    2.2.1 ブラケットの耐荷重

   2.3 組立て方法

   2.4 アクセサリ

   2.5 フレーム with 100均

   2.6 アルミパイプの種類

    2.6.1 アルミパイプの強度

   2.7 アルミパイプのコネクタ種類

2.7.1 コネクタの強度

  3. 設計ツール 3D CAD

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