1. はじめに
フレームDIYラボではアルミフレームやアルミパイプを使ったDIYを紹介していますが、
興味がある人と一緒に「LINK YOUR DESIGN」という共同DIYも行なっています。
これは実際にアルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒に協力しながら行う活動です。
アルミフレームやアルミパイプはとても便利な材料で木材にはない優れた特性がありますが、
普段身近にないため使い方がわからないという欠点があります。
そこでアルミフレームやアルミパイプの使い方や選定、設計などをアドバイスしながら
初めての人でも安心してDIYできるようにするものです。
これまで行なってきた共同DIYの様子はこちらから見る事ができます。
アルミパイプやアルミフレームを使ってみたいという方と一緒に共同DIYを行っています。これらの材料はとても便利ですが入手性の悪さからあまり知られていません。そのため部品選定や使い方、加工、組立方法など初めての人はわかりにくいです。そこで共同DIYでは誰もが扱えるようにサポートしています。
今回の相談者は愛知県に住むHさんです。
カーポートと壁の間に隙間があり雨が振り込んでくるため屋根を作りたいという内容です。
写真を見るとカーポートはコンクリートでしっかり作られた構造で
壁との間に約1×3m程の隙間が空いています。
以前も同じように共同DIYでカーポートと玄関の隙間に屋根を作りました。
カーポートと既設屋根の間に隙間があり、雨で濡れてしまいます。そこでアルミパイプを使って屋根を新たに追加することになりました。しかしカーポートと既設屋根は高さが異なるため斜めになってしまいます。このような場所でもアルミパイプであれば簡単に作ることができます。
山口県に住むOさんの自宅カーポートは8mと長いものの、横壁がないため雨が降り込んできます。また通行人からも部屋の様子が丸見えです。そこで雨よけと目隠しを兼ねた壁をアルミパイプと波板でDIYしました。カーポートに新たな柱を追加して波板を取付けたので強度も十分です。
ただ今回は車庫の雰囲気から考えて波板は合わないためポリカ板を使います。
こちらも以前、住宅の屋上に雪避け屋根を共同DIYした事があります。
屋上の縁に雪が積もらないように逆勾配のポリカ屋根を共同DIYしました。幅が10mもある長い屋根で、先端を90度曲げで屋根の下にも雪が入らないように考えました。アルミフレームで枠組みを作って、そこにポリカ板を設置します。ポリカ板を取り付けるにはアルミフレームが使いやすくて最適です。
それと同じ方法で今回もカーポートと壁の間に屋根を作りたいと思います。
2. カーポート隙間屋根の構想
Hさんのご自宅の壁とカーポートはコンクリートでできています。
写真左側は住宅の壁で右側に見えるのがカーポートとなっています。
この壁とカーポートの間に幅700mm、長さ3,300mmほどの隙間があるため
ここから雨が降りこんできます。
そこでカーポート側から壁の側に向かって隙間屋根を作って雨が入り込まないようにします。
カーボート側から壁側に傾斜を付けて雨水を長し、さらに長手方向にも傾斜を付けて
一箇所に水を流すようにします。
また壁の向こう側に水が流れないように屋根は壁よりも低い位置に作ります。
そうなるとカーポート隙間屋根の角度調整が難しそうです。
さらに屋根材はポリカ板を使う事から構造材はアルミフレームになります。
この屋根は防水性も高い必要があるためポリカ板とパイプでは作る事が困難です。
ただアルミフレームは角度調整が難しく、悩みそうな予感がします。
まずはHさんと相談しながら屋根の設計を行います。
3. カーポート隙間屋根の設計
3.1 カーポート隙間屋根の材料
今回のDIYではアルミフレームを構造体として使う事にしました。
アルミフレームは企業や工場などでは一般的によく使われる材料ですが、
家庭DIYで見ることはあまりありません。
アルミでできた角材で木材にない優れた特徴があります。
アルミフレームには色んなサイズがあるため用途や必要強度に応じて選定します。
各フレーム強度や組んだ時のたわみ量など計算して事前に把握できるのでとても便利です。
アルミフレームは断面サイズで分類されており、(15×15mm)から(100×100mm)まで幅広いラインナップとなっています。断面形状も正方形だけでなく、長方形もあります。そのため用途に応じて使い分けが可能で、例えばカーポートから小さな棚まで幅広いDIYに適応できます。フレームサイズと一緒にブラケットなどの部品もそのサイズ専用となるので注意が必要です。
アルミフレームの強度は①単体強度、②BOX強度、 ③接合強度の3つを考える必要があります。全ての強度が想定荷重よりも高ければ安心して作れます。
今回はポリカ板を屋根材として使用するためフレーム材が適しています。
アルミフレームサイズは20mm角材です。
このサイズで考えると少し細い気もしますが、雨程度であれば十分に流すことはできます。
幸いなことにHさんの住んでる地域は積雪がないため耐荷重があまり必要ありません。
ただ問題はやはり屋根の傾斜の調整です。
アルミフレームは角度を調整することが苦手で実際に使えそうな部品は
ターンブラケットという物しかありません。
これを使えば角度の調整は可能ですが、強度的に弱くなってしまいます。
しかし今回は屋根の耐荷重があまり必要ないため、この部品で傾斜を作ります。
屋根材は耐候性ポリカ透明板 厚み3mmです。
今回の屋根は幅700mm、長さ3,300mmとなりますが、
輸送の関係で最大1,000×2.000mmまでしか送れません。
そのため2枚のポリカ板を並べて設置することにしました。
アルミフレームやポリカ板、ネジに至るまで全てメーカから一括購入できて大変便利です。
更に依頼すればポリカ板にはネジ止め用の穴加工もしてもらえるため、
自分で材料加工をすることなく組み立てるだけで色んな物を作ることができます。
3.2 カーポート隙間屋根の設計
アルミフレームの設計は専用の3D CADで使って行います。
これを使う事で作る前にどのような物に仕上がるかを様々な角度から見る事ができます。
共同DIYではこのCAD図を元に相談者と話を進めています。
このCADについてはこちらで詳しく動画を使って紹介しています。
アルミフレームやアルミパイプには専用の3DCADが無料で提供されています。そのためこれを使えば作る前に色んな角度から見ることが可能となり、設計ミスが少なくなります。さらに部品の長さや種類、数なども自動で計算してくれるので部品手配ミスや加工ミスも低減することができます。
Hさんは元々機械設計をされていたので細かい所まで考えてもらえて大変勉強になりました。
まず全体図はこのような形となります。
アルミフレームで枠組みを作ってその上に2枚のポリカ板を載せてボルトで固定します。
中央のフレームでは2枚のポリカ板が合わるため幅80mmのフレームを使っています。
20mmアルミフレームでも種類が豊富にあるので用途に応じて選定することができます。
ポリカ板の運送サイズから一枚板では作れず、2枚に分けて取り付けることにしました。
ポリカ板の厚みは3mmで耐候性のある種類を選定しています。
Hさんの地域では積雪するほどの雪が降らないため耐荷重はあまり重視しませんでした。
この屋根を壁とカーポートに取付ける固定方法ですが、壁とカーポートにLアングルを
固定して、そこにボルトで固定することにしました。
またその際に雨水を流すため傾斜を付ける必要があります。
そこで次のような方法で固定することにしました。
この方法ではカーポート側(図右)を上下に動かせるようにして壁側(図左)に
ターンブラケットを設置して傾斜を変えるものです。
この際、雨水はカーポート側から壁側に流れるため壁側はLアングルを2個使って
チャネル型にして雨水が屋根の下にこぼれないようにしました。
そしてこのチャネルにも傾斜が付いており、最終的には一か所に雨水を流します。
アルミは水の中でも使えるのでこのような使い方も可能です。
ポリカ板とアルミフレームの取付は別のCAD図面で書いています。
メーカに穴あけ加工も依頼し穴位置とアルミフレームがずれないように図面で確認します。
(図は片面分のみ。青線がポリカ板、黒枠はフラットバー、グレーはアルミフレーム)
2枚のポリカ板の継ぎ目や端部で水漏れしないように
アルミ製のLアングルやフラットバーを使って上から押さえて固定します。
このようなアングルやフラットバーもメーカで準備して一緒に送る事ができます。
今回、フラットバーやLアングルの穴あけ加工は現地で合わせながら行ってもらいます。
金属の穴あけ加工と聞くと難しそうですが、アルミの場合はとても簡単です。
電動ドライバーとドリルがあれば簡単に空けることができます。
こちらではアルミパイプに穴あけ加工する様子が見れますが、こんな感じで簡単です。
3.3 カーポート隙間屋根の部品リスト
これらの設計を元に部品リストを作りました。
フラットバーやアングル、ポリカ板やボルトなどメーカで対応できる部品は
まとめて手配できますが、樹脂ワッシャーなど一部取り扱えない部品もあります。
できる限り部品をまとめて送ることで組立てだけで作れるように考えます。
今回は細かいところまで設計できました。
機械設計をされていたHさんのアイデアや現場状況把握のおかげだと思います。
4. カーポート隙間屋根の製作
設計が完了すれば、後はメーカに部品を手配します。
専用の3D CADは図面や部品リストを出力してくれるのでそのままメーカに依頼します。
今回はそれ以外にフラットバーやLアングル、ボルト類もお願いしました。
ポリカ板はメーカに取り扱いがない種類を選定したため、別の商社に依頼しました。
この商社では色はもちろん、表面の凹凸やザラザラなどの表面仕上げ処理も含めて
様々な種類のポリカ板やアクリル板を取り扱っています。
アルミフレームは樹脂パネルを取り付けやすいためサンルームや小屋などで使用したいという相談を多く受けます。そこでコストを抑えるために他の樹脂メーカから購入してネット通販よりも安く手に入れるようにしています。大手メーカ製なので色や表面仕上がりなど多くの種類があります。
またHさんはアルミフレームを使うのは初めてなので、私の方で組図を作成します。
どの部品をどこに使うかなど分かるようにする事で迷わずに作る事ができます。
そしてこちらがHさんが作られたカーポート隙間屋根です。
コンクリへのアングル固定はアンカーを使われて固定されています。
この写真では見えにくいのですが、壁に沿って取り付けられた排水用チャネルの左側には
雨どいが設置され、ここで雨水を一か所にまとめています。
壁やカーポートがコンクリートのためアルミの銀色がよくマッチしており、
透明のポリカ板も良い雰囲気だと思います。
一見すると業者さんに依頼したような隙間屋根ですが、
アルミフレームを使えば自分で作れるので幅広い用途がある材料だと思いますね。
5. さいごに
アルミフレームとポリカ板で作るカーポート隙間屋根は如何だったでしょうか?
アルミフレームやアルミパイプはホームセンターなどであまり販売されていませんが、
これが使えると見た目もカッコいいDIYができると思います。
また雨に濡れても錆びないため屋外DIYには最適ですね。
ただ部品の種類が多くて部品選定など設計に関わる事が初めは戸惑うと思います。
ここがアルミフレームやアルミパイプを使いにくくしている問題点です。
しかしそんな時はお問い合わせフォームからいつでも質問して下さい。
「LINK YOUR DESIGN」はアルミフレームやアルミパイプを使いたい人のサイトです。
またフレームキャンパスにはアルミフレームの組立方法や部品説明など
動画でわかりやすく説明していますので、まずはそちらを見られても良いかと思います。
実物を見ながら部品の特徴や使い方を知ることができます。
アルミフレームやアルミパイプの基礎から応用まで動画を見ながら学びませんか?ここではアルミフレームの特徴や加工方法、3D CADの使い方、各種部品を使った応用まで幅広く動画で説明しています。アルミDIYの基礎から学んだり、自分の興味ある部品だけ確認のために見ることもできます。初めて扱う方でも安心して利用できることを心がけて動画を作成しています。
DIYと聞くと器用な人や得意な人だけができるものだと思われがちですが、
そんなことはありません。
人によって経験やできる範囲が異なるため全ての人が同じ物を作れる訳ではないものの、
頑張ってチャレンジすれば作れる物もたくさんあると思います。
ただその挑戦を一人で行うと時間がかかったり、失敗する恐れも当然あります。
しかしこのように2人で協力し合って挑戦すれば色んな可能性が広がると私は思います。
自分だけのオリジナルDIYに皆さんも是非チャレンジしてみては如何でしょうか?
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
アルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒にしてみませんか?
DIYする時間や工具がない
普段DIYをしないので自信がない
そんな方にも安心で手間がかからず欲しい物が手に入る共同DIYです。
一人で考えるよりも複数人で考えた方がよりいいアイデアも生まれます。
まず設計や構想は御自分で考えて欲しいものをイメージしてください。
もし自分で加工から組み立てまでされる方は必要に応じてアドバイスを致しますし、
手間な部品手配や加工をしたくない方はこちらで実施して組み立てる状態の部品を
お送りすることもできます。
初めて使う材料で不安な方も安心してチャレンジすることができますよ。
気に入った物が見つからない場合は試してみては如何でしょうか?
サポートやアドバイスは無料で実施しているためできる事、できない事があります。
詳しいサポート内容や進め方はこちらで説明しています。
またこの材料を簡単に入手したい人向けの
サービスも実施しています。
1日以内にSUS社製商品のお見積りを
提出しています。
ホームセンターで入手できない部品も
こちらだと簡単に入手できます。
これまでのサポート事例はこちら。
「サポート事例集」
より詳しくアルミフレームやアルミパイプを知りたい方は動画で実物を使った説明や
実際にDIYしている様子を見ることができます。
これまで「LINK YOUR DESIGN」を通して共同DIYした事例はこちらから見れます。
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