(共同DIY) キャンター トノカバーをアルミフレームでカスタム!


1. はじめに

フレームDIYラボでは「LINK YOUR DESIGN」という共同DIYを行なっています。

これはアルミフレームやアルミパイプを使った事のない方や

興味がある方と一緒にDIYをするものです。

まずは互いに話し合って構想を考え、私が作図と部品選定を担当し、

相談者の方が実際に組み立てて完成を目指す活動です。

最近では自分のDIYよりもこちらの活動の方が多くなり、

たくさんの人にアルミフレームやパイプの良さを実感してもらっています。

これまでの共同DIYの記事はこちらで紹介しています。


(共同DIYサポート事例集)

アルミパイプやアルミフレームを使ってみたいという方と一緒に共同DIYを行っています。これらの材料はとても便利ですが入手性の悪さからあまり知られていません。そのため部品選定や使い方、加工、組立方法など初めての人はわかりにくいです。そこで共同DIYでは誰もが扱えるようにサポートしています。


今回の記事はキャンターの荷台にトノカバーを作りたいという相談でした。

以前、軽トラにトノカバーを共同DIYしたことがあり、その記事を読まれての相談です。


(軽トラのトノカバーを共同DIY)

仙台市在住のKさんから「LINK YOUR DESIGN」よりお問い合わせいただいた軽トラのトノカバーをアルミフレームを使って共同DIYしました。Kさんにカバーの取付方法や寸法の確認をお願いし、私が設計、部品選定を行うことで希望されるトノカバーが完成!一人で作るよりも良いものができますよ。


軽トラのトノカバーはリアからフロント側に折りたためるカバーでしたが、

今回は左右に羽のように跳ね上げるタイプのカバーです。

先に完成品をお見せすると、こんな感じでカッコいい!!

こんな車があったら立ち止まって中をのぞきたくなりますね(笑)

このキャンターのトノカバーをどのように共同で作ったかを紹介します。




2. キャンタートノカバーの構想

相談者は愛知県に住むYさんです。

「LINK YOUR DESIGN」からお問い合わせを戴きました。

自分で建設業を営まれてる方で新たにキャンターを購入したので、

一緒にトノカバーも作りたいという相談です。

Yさんから構想図をいただき、どのようにしてアルミフレームで作るか考えます。

こちらがYさんからいただいた構想図です。

さすが普段からお仕事でされているので既に完成された図面です。

ただこのような図面をいただくことは稀で、

普段は言葉や写真、手描きのスケッチ図がほとんどです。

そのためこの時点でYさんの職業が何となく想像できます。

この図の構想ではフロントからリア側に向かう方向にフレームを固定して、

左右に開くカバーにするものです。

また荷物の出し入れがしやすいようにダンパーを付けて左右の扉が

開いたままになるようにします。

またカバーの上に荷物を載せられるような強度も必要ということでした。

アルミフレームの固定はYさんの方で荷台に直接固定されるとのことです。

さすが建築屋さんは発想が違いますね。

ここまで具体的な構想が出来ていれば、後はアルミフレームで設計しながら

細かな寸法を合わせていきます。


3. キャンター トノカバーの設計

アルミフレームやアルミパイプの良いところは3D CADで設計できる点です。

そのため作る前にあらゆる角度から図面を確認することができます。

共同DIYでは私が3D CADで作図して相談者の方に確認してもらっています。


フレーム、パイプの3D CAD設計)

 アルミフレームやアルミパイプには専用の3D CADが無料で提供されています。そのためこれを使えば作る前に色んな角度から見ることが可能となり、設計ミスが少なくなります。さらに部品の長さや種類、数なども自動で計算してくれるので部品手配ミスや加工ミスも低減することができます。


まずは構想や使用用途から材料やサイズを決めて図面を作成します。

今回の場合、カバーの取付けがあり、そのカバーの上に物を載せることも想定しているので

アルミフレームの30mm角サイズを使用します。

アルミフレームはホームセンターなどで販売されていないため普段あまり見かけませんが、

企業や工場などでは一般的によく使われるアルミ角材です。

アルミは水に濡れても錆びず、しかも軽いため車載DIYには最適な材料です。

角材の太さも数種類あるため使用状況によって使い分けることも可能です。


(アルミフレームの種類)

 アルミフレームは断面サイズで分類されており、(15×15mm)から(100×100mm)まで幅広いラインナップとなっています。断面形状も正方形だけでなく、長方形もあります。そのため用途に応じて使い分けが可能で、例えばカーポートから小さな棚まで幅広いDIYに適応できます。フレームサイズと一緒にブラケットなどの部品もそのサイズ専用となるので注意が必要です。


またアルミフレームどうしはブラケットと呼ばれる部品で簡単に連結できます。

六角レンチでボルトを締めこむだけでしっかりと固定できます。

連結用途に応じて多くのブラケットが用意されているので最適なブラケットを使えます。


(ブラケットの種類)

 アルミフレームはブラケットと呼ばれる部品で連結されます。ブラケットは2つのネジ穴を持ち、ここにボルトを差し込んで専用ナットと締め付けることでアルミフレームに固定されます。フレームどうしを直角に連結することが多いですが、別の角度に固定するブラケットもあります。ブラケットは使い方によって連結強度が変わるので注意が必要です。


またダンパーですが、ダンパー蝶番という部品がメーカのアクセサリ部品にあったので

そちらを利用することにしました。

まずはこれらの部品を使ってたたき台の図面を作成して、そこから修正を加えていきます。

当初は左右のカバー枠も作る予定でしたが、少しずつ変更が加わります。

最終的にはこちらの設計に落ち着きました。

横だけでなく後部にもカバーを取り付けて、カバー材もアルミ複合板からアルミ縞板へと

変更になりました。

そのためフレーム重量が重くなり、中心の固定フレームサイズを(30×30)mmから

(30×60)mmへサイズアップして補強しています。

このようにお互いで何度も話し合って最終的な設計を詰めていきます。

共同DIYではメールでやり取りしながら話を進めますが、図面や写真などを多用するため

相談者の専用ページを開設して、そこで図面を見ながら相談します。

Yさんの専用ページはこちらですが、内容を見てもらえればどのようにして進めるかが

分かってもらえると思います。


4. 部品手配と製作準備

図面が完成したらメーカに見積もり依頼、その金額を見て最終判断をしてもらいます。

購入されると全ての部品がメーカから直送されるため、大型な物でも安心して作れます。

しかも送料はメーカ負担なので大型な物を送る際はとても有り難いです。

納期は物や量によって前後するため2週間を目安にしてもらっています。

この間に私の方で組み立て資料を作成します。

初めてアルミフレームを使われる方は部品が届いてもどこに使うのかわかりにくいです。

さらに同じフレームが長さ違いでたくさんあるので間違える事もよくあります。

そこで事前に私の方で図面に部品の型式を追記して各部品の使用箇所を明確にして、

組み立てる際に作業しやすい手順や方法を考えて準備します。

例えばホームセンターで棚を買った時に同封されている組立手順書のようなものです。

またアルミフレームはブラケットやナットを使って組み立てるのですが、

基本的には六角レンチ1本で組み立てられます。

しかも木材と違って間違っても簡単にやり直しができるので安心です。


(アルミフレームの組立て方法)

 アルミフレームやアルミパイプの組立ては六角ボルトを締めこむだけの簡単作業です。六角レンチ1本あれば全てを組み立てることができます。ウチの小学2年生の子供でもこの通り。誰が作っても同じように組みあがるので技術が要らず、初めての方やDIYしない人も安心して利用できます。


もし設計したフレーム長さが実物と合わないときは100均にある金物ノコギリで簡単に

切断することもできます。

また金属なのでタップ加工をして直接フレームにネジを固定することも可能です。

金属加工と聞くと難しそうですが、アルミは柔らかいので比較的楽に加工できます。


(アルミフレームの加工方法)

 アルミフレームは木材よりも強度があるので同じ耐久性の物でもコンパクトに作れます。その反面、木材に比べて加工が少し大変で木材ほど簡単に切断できません。そこで様々な工作機やハンドソーで実際に切断して比較しました。その結果、特別な工作機は必要なく簡単に入手できるもので加工できました。


「LINK YOUR DESIGN」は一緒にDIYをする活動で物を販売するものではありません。

そのため相談者と一緒に考えて如何に希望の物が上手く作れるかを最後まで考えます。

Yさんから手配を依頼されたのでメーカに依頼し、製作準備を行います。


5.  キャンタートノカバーの完成

Yさんから納品されたとの連絡があり、ここから組立開始です。

ここからはYさんがメインで作業され、私は何かあった時のサポート役です。

実はこの時が私にとって最も気になる時です。

実物が見れず具体的な様子がわからないので完成の連絡があるまで落ち着きません。

しかしさすがYさん、完成した写真を見ると驚きの出来具合いです!

こちらの写真はYさんが送ってくれた作業風景の写真です。

まだカバーのないキャンター荷台はこのような感じです。

そこにアルミフレームで枠組みを作っていきます。

そして中心に左右扉の支点となるアルミフレームを固定して扉を取り付けます。

アルミフレームの溝にナットを入れてアルミ縞板を固定します。

最後にカバー内側にダンパーを取り付けると完成です。

こんなトノカバーがDIYで作れるから驚きです!!

カバーは当初アルミ複合板を使う予定でしたが、アルミ縞板に変更されました。

そのため落ち着いた雰囲気で重厚感が出ています。

左右カバーを開けた状態がウイングみたいでとてもカッコいい!

アルミ縞板は折り曲げられており、上と横のカバーが一体となっています。

Yさんがご自身で調達されました。

カバー中心(フロントーリア方向)に30×60mmフレームで支柱を作り、

これを荷台に直接固定しています。

この支柱にヒンジを使って左右のカバーを取り付けてウイングのように開く仕様です。

左右のカバーは閉じた時に荷台ハッチの上に載るようになっており、

普段はパッチン錠で開かないように固定します。

またカバーにはダンパーが付いておりスムーズに開閉できて、開けたままの状態で保てます。

アルミフレームにナットを入れておくことで縞板を簡単に固定する事ができます。

このようにナットを使えば好きな位置に簡単にボルト固定できるため、

途中で部品を追加で取り付ける場合などは特に便利でとても融通がききます。

これだけ立派なトノカバーですが、いくつか改善点もありました。

まずはカバーを支えるダンパー蝶番ですが、当初の設計から部品数やカバー板材の変更があり

さらにアルミ縞板が重かったこともあって支えることができなくなりました。

そのため急遽、ロッドタイプのダンパーを追加で設置されたようです。

ただこれもアルミフレームのナットを使えば比較的簡単に追加取付できます。

もう1点はトノカバーの防水です。

中心支柱とダンパー蝶番で左右カバーを取り付けたため隙間ができてしまい、

水が入ってしまいます。

以前、他の相談者の方と一緒に作ったトノカバーではラバーヒンジという部品を使用し、

こちらは完全に防水にできました。

そのためダンパー蝶番を使わずにその代わりにラバーヒンジを使い、

ロッドダンパーを少し強めに使っておけば良かったかもしれません。

6. さいごに

キャンターのトノカバーを共同DIYは如何だったでしょうか?

お互いの知恵を出し合って協力して作るDIYなので一人で作るよりも安心で

色んなアイデアが生まれます。

特にアルミフレームやアルミパイプといった材料はとても便利で使い勝手がいいですが、

入手性が悪いため身近で触ることはありません。

しかしここで設計をしておけばメーカから直送で送られてくるため、長尺物や重量物など

考えようによっては便利だと思います。

これからも「LINK YOUR DESIGN」を通じて相談のあった共同DIYを紹介していくので

もし興味がありましたら、気軽に声をかけて下さい。

この記事が皆さんの参考になれば幸いです。


アルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒にしてみませんか?

 DIYする時間や工具がない

 普段DIYをしないので自信がない

そんな方にも安心で手間がかからず欲しい物が手に入る共同DIYです。

一人で考えるよりも複数人で考えた方がよりいいアイデアも生まれます。

まず設計や構想は御自分で考えて欲しいものをイメージしてください。

もし自分で加工から組み立てまでされる方は必要に応じてアドバイスを致しますし、

手間な部品手配や加工をしたくない方はこちらで実施して組み立てる状態の部品を

お送りすることもできます。

初めて使う材料で不安な方も安心してチャレンジすることができますよ。

気に入った物が見つからない場合は試してみては如何でしょうか?

サポートやアドバイスは無料で実施しているためできる事、できない事があります。

詳しいサポート内容や進め方はこちらで説明しています。

Link Your Design

またこれまでのサポート事例はこちら。

 「サポート事例集





これまでアルミパイプやアルミフレームでDIYした事例です。

気になるDIYがありましたらご覧ください。


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