こんにちは、マッティです。
今日はDIY記事ではなく、久しぶりにあれをやってみたいと思います。
そう、不人気な「部屋干しで洗濯物はどれくらいで乾く?」シリーズです。
たまに聞かれますが、寒いと部屋干しは乾かないのでは?と思われてる人がいます。
確かな寒いと乾きにくい環境ではありますが、乾かないわけではありません。
寒い日をあえて選んでいつもの乾燥時間測定を行います。
1. 洗濯物が乾く原理とは?
少し洗濯物の乾燥についておさらいしておきましょう。
洗濯物の乾燥とは衣類に含まれた水分が蒸発する現象です。
衣類の水分は内部から表面へと移動して表面のみから水分を蒸発します。
蒸発を促進する力は気温や日射による輻射熱、そして周りとの水蒸気圧差です。
一方で蒸発を抑えようとする力は周りの空気中に存在する水蒸気と衣類表面付近にある境膜と
呼ばれる水蒸気膜です。
洗濯物を干す時は蒸発を促進する力と抑える力の両方を意識しないといけません。
蒸発を促進する力
・外気温
・日射による輻射熱
・周囲の空気との水蒸気圧差
蒸発を抑える力
・大気中の水蒸気圧
・衣類表面の境膜(水蒸気膜)
例えば、梅雨時期に乾きにくいのは蒸発を促進する力が不足している訳ではなく、
蒸発を抑制する力が強いからです。
寒いと乾きにくいのは蒸発を促進する力が不足するからです。
特に部屋干しで重要なのは蒸発を抑制する力の方です。
室内は有限空間なので干す時に出る水蒸気が室内にこもり、
逆に抑制する力に変わってしまうからです。
これが外干しだと発生した水蒸気は拡散するので抑制する力になりません。
洗濯物が乾く原理を詳しく説明しています。洗濯物を速く乾かす場合、すぐに温度を上げると考えますが、それは正しくありません。乾燥には温度や湿度も重要ですが、それ以上に風が重要です。この風がどのように働いているかを理解すれば洗濯物が速く乾かせます。
オススメの部屋干し方法は蒸発を抑制する力を極力少なくして蒸発しやすくする方法です。
特に洗濯物の周りにある境膜を薄くする事で蒸発しやすくする方法です。
具体的には洗濯物を回転させながら乾かします。
これもアルミパイプを使ってDIYしました。
洗濯物に風を当ててくるくると回転させることで、常に洗濯物に風が当たった状態を
作り出し速く乾かす方法です。
こちらでは実際にタオル16枚が20分でどれくらい乾くかを部屋干しの解説をしながら
実験しています。
このメリットは満遍なく洗濯物を乾かせる点にあります。
さあ、この方法で室温7℃の場合にどれくらいで乾くでしょうか?
サンルームで検討した経験をもとに、部屋干しでもあっという間に乾かせる回転式乾燥スタンドを自作DIYしました。扇風機の風を当てると洗濯物がくるくる回転して万遍なく均一に乾かすことができます。蒸発した水蒸気も効率よく排出し、扇風機だけで乾くので電気代も10円程度で済みますよ。
2. 部屋干し実測条件
部屋干しした時の条件は次の通りです。
(部屋干し実測条件)
・実施日時 : 2018/1/5 午前中
・天候 : 朝は小雨、のちくもり
・温湿度 : 6~8℃ 、 70~80%
・干し方 : 部屋干し
回転式乾燥スタンド、扇風機
・評価対象 : タオル9枚
・その他 : 窓は2か所開放
ここでポイントは窓を開けている点です。
この日は午前中に雨が降ったので湿度は70%以上ありました。
部屋に除湿機があれば別ですが、そうでなければこんな状況でも窓を開けて干すことを
お勧めします。
窓を開ける事で蒸発した水蒸気を外に逃がすことができるので乾きやすくなります。
洗濯物から出る水蒸気の影響は思っているよりもはるかに大きいものです。
私は雨が降っていても少々であれば窓を開けています。
雨が降ると湿度が100%になると思われやすいですが、そうではありません。
雨の量にもよりますが、大体85%前後の湿度になっています。
経験的に90%を越えると乾きませんが、80%台はまだ何とかなる印象です。
ただし霧が出ている日は湿度が100%付近まで上がってしまうので、
窓を開けない方がいいですね。
3. 室温7℃の部屋干しは何時間で乾いた?
今回はタオル9枚の重量を1時間毎に測って乾燥具合を評価しました。
乾燥率は脱水後の重量に対して乾燥した割合を計算しています。
[ 乾燥率 = (脱水直後重量ー重量)/脱水直後重量) ]
比較のために以前測定した異なる環境のデータも併せて載せています。
気温7℃の寒い日でも思ったほど乾燥時間が長くなってはいません。
やはり3時間ほどでほとんど乾いています。
むしろ驚くのは気温27℃、湿度90%の日よりも速く乾いている点です。
温度差が20℃もあるのに、何故こんなことが起きるのでしょうか?
3.1 部屋干しと温度、湿度の関係
洗濯物乾燥速度は干した衣類の表面積と飽差にそれぞれ比例します。
飽差とはある気温における飽和水蒸気圧Psと実際の水蒸気圧Pの差分です。
これが大きいと空気中にまだ十分な水蒸気を蓄える余力があって、蒸発を抑える圧力が少ない
ことを意味しています。
これまで部屋干しにおける乾燥速度(重量)を数多く測定しました。そこで得られたデータをまとめて考察したところ、面白い法則が見られます。ここでは部屋干しにおける温度や湿度の影響を数学的視点から考察、比較しました。他では見ることができない実測データを使った分析結果です。
それでは表中の3つのケースについて、この飽差を計算してみます。
( 飽差 = 飽和水蒸気圧ー(飽和水蒸気圧×湿度) )
温度 [℃] | 湿度 [%] | 飽和水蒸気圧 [hPa] | 飽差 [hPa] |
7 | 70 | 10.0 | 3.0 |
18 | 60 | 20.7 | 8.3 |
27 | 90 | 35.7 | 3.6 |
このように(7℃、70%)と(27℃、90%)では飽差はほとんど同じです。
しかし(7℃、70%)の時は窓を開けて干していましたが、(27℃、90%)のときは
梅雨時期で雨が降っていたので窓を開けていません。
温湿度環境的には両者はほとんど同じですが、窓の開閉により蒸発した水蒸気が与える影響が
異なり、これだけの違いが出たと思われます。
よく部屋干しで乾きをよくするために室温を上げることがされます。
この方法は間違いではありませんが、費用対効果を考えると効率的ではありません。
何故なら、温度を上げることはコスト(電気代)を要しますが、それによる部屋干しの乾きは
限定的だからです。
このように部屋干しは干し方や部屋の環境がかなり重要になっています。
(部屋干し環境調査)
部屋干しは干す環境、特に水蒸気の換気方法の影響を大きく受けます。ここでは浴室で部屋干しする場合の環境の違いによって乾燥時間がどれくらい変わるかを調査してみました。結果を見ると、窓を開けるか閉めるかの違いだけで乾き方が全然違っています。
また今回の実測ではタオル以外にも他の衣類も合わせて一緒に干しています。
タオルやシャツなどの乾きやすい物は3時間で乾いていますが、
乾きにくいズボンや厚手の上着は4時間経ってもまだ少し乾いてません。
乾燥では素材の影響よりも衣類形状の影響を受け、特にズボンが乾きにくいです。
これらの衣類を速く乾かす場合は自然の力だけでは足りず、除湿器や乾燥機が必要です。
ただしこれで乾かしても生乾きの臭いは一切していません。
衣類の素材や形状に注目して30分毎の重量を計測しながら乾燥速度や含水率を測定しました。その結果、素材は脱水後の吸水率に影響し、衣類形状は乾燥速度に影響していました。脱水回数を増やして重量を計測しましたが、変わらない結果となっています。
4. さいごに
今回の部屋干し実験結果は如何だったでしょうか?
気温が低くても十分乾くことが分かってもらえたかと思います。
「部屋干しが乾かないから除湿器を買いたい」
「冬はまとめてコインランドリーで乾かす」
「乾かすためにエアコンを入れっぱなしにする」
そんな声をよく聞きますが、そんなことはありません。
自然はもっと寛容でしっかり洗濯物を乾かしてくれます。
部屋干しがどのようなメカニズムで乾いているか、乾きが遅い原因がどこにあるかを
しっかり見直せばもっと簡単に干せるようになりますよ。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
アルミフレームやパイプを使ったDIYを一緒にしてみませんか?
DIYする時間や工具がない
普段DIYをしないので自信がない
そんな方にも安心で手間がかからず欲しい物が手に入る共同DIYです。
まず設計や構想は御自分で考えて欲しいものをイメージしてください。
もし自分で加工から組み立てまでされる方は必要に応じてアドバイスを致しますし、
手間な部品手配や加工をしたくない方はこちらで実施して組み立てる状態の部品を
お送りすることもできます。
初めて使う材料で不安な方も安心してチャレンジすることができますよ。
気に入った物が見つからない場合は試してみては如何でしょうか?
詳しいサポート内容や進め方はこちらで説明しています。
またこれまでのサポート事例はこちら。
「サポート事例集」
これまでアルミパイプやアルミフレームで製作した作品はこちらです。
アルミフレームを使ってキッチンに壁収納を作りました。壁を傷付ける事なく、アルミフレームを突っ張り棒のように固定して他の部品を組み立てていきます。アルミは燃えないので火の回りで使っても安心。しかも100均部品を利用したからくりがあります。右の写真でテーブルがありますが、どこか判りますか?
住んでいる家の洗面室がとても狭く、家族4人分の着替えや洗剤などを置く収納場所がありません。そこでアルミフレームを使って洗濯機の上やちょっとしたスペースを有効的に利用できる収納棚を作りました。市販品の棚だとどうしても無駄なスペースが出来ますが、自分で設計して作れば最適。しかも100均を利用して費用も抑えました。
住んでいる賃貸住宅には軒や屋根がなく、洗濯物を干したり自転車を雨から避ける場所がありません。そこでアルミパイプを使って幅4mもあるテラス屋根を作りました。特徴は壁を傷付けたりコンクリートを使用せずにいつでも元に戻せること、目隠し壁まで取り付けても費用は4万円台という点です。
うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。
今の賃貸部屋は間取りがとても悪く、リビングに入る扉を開けるとキッチンが全部見えてしまいます。キレイな時は問題ありませんが、そうでないと大変。そこでキッチンを丸ごと囲う目隠しカーテンをアルミパイプで作りました。パイプを突っ張り棒のように使えば、どんな場所にでもカーテンや壁、扉を作ることができますよ。
サンルームで検討した経験をもとに、部屋干しでもあっという間に乾かせる回転式乾燥スタンドを自作DIYしました。扇風機の風を当てると洗濯物がくるくる回転して万遍なく均一に乾かすことができます。蒸発した水蒸気も効率よく排出し、扇風機だけで乾くので電気代も10円程度で済みますよ。
高さ2mもあるパントリーには据付の棚がありません。そこで収納棚を作り、上の空間まで無駄なく利用できるようにします。ただ問題はここが賃貸住宅であること。そのため壁に直接ビスや釘は使えません。そこでパイプを突っ張り棒のようにして固定することで10kgの米袋を載せてもビクともしない棚にしました。
キッチンで食器洗いや料理をしているときにちょっとした物置き台が欲しくなります。例えばタブレットで動画を見たり、ボウルや野菜などの材料をちょっとだけ置くなど。そんなときに便利な可動式物置き台をアルミパイプでDIYしました。この台はスライドして自由に動かせるので作業する場所でいつも使えます。
賃貸住宅のキッチンのシンク回りが狭くて作業がとてもやりずらい。食洗機が付いておらず食器カゴを使ってますが、これがシンクの上で場所を取ります。そこで食器カゴをシンクタンクの上に置ける台をアルミフレームでDIYします。水にぬれても錆びない材料なので水回りにピッタリです。