キッチンカウンターに可動する物置台をDIY


1. キッチンにちょっとした物置が欲しい

キッチンで食器洗いや料理をしている際、ちょっとした物置台が欲しい時ありませんか?

例えば私は食器洗いするときにはスマホやタブレットで動画やビデオを見ていますが、

これらをちょうど目線の高さに置く台がありません。

また料理をするときもクックパッドを見ながら作るのでやはりスマホを目線の高さに

置けるととても便利ですね。

しかしいつも目線の高さに台があると使わないときは邪魔になります。

そこでいつも取り外しができてキッチンシンクやコンロなど離れた場所でも可動して

どこでも使える可動式の物置台をDIYしてみます。




2. キッチン可動式物置台の構想

食器洗いの時にはスマホやタブレットが置けて動画や音楽を聴きながら家事を出来るように

目線の高さにおける台が欲しいですね。

また料理の時には皿やボール、野菜などを置けるようにしてチョット便利なキッチンに

したいと思います。

シンクタンクとコンロまでは約1mほど離れていますので、この距離を自由に移動させて

それぞれの作業で兼用できる台にしたいと思います。

そこで考えた物置台のポイントは次の通りです。

物置台のポイント

  ①スライドして場所を変えられる

  ②好きな高さに台を調整できる

  ③不要な時は取り外せる

  ④ちょっと重たい物でも載せられる

ここで特徴なのは物置台が可動するということですね。

このような可動機構をDIYするにはアルミパイプが最適です。

アルミパイプは普段あまり目にすることがありませんが、工場などでは一般的に使われます。

アルミで出来た円筒状のパイプでイレクターパイプと似ていますが、

とても優れた特徴があります。


アルミパイプってどんなもの?)

 家庭DIYで利用する金属パイプにイレクターパイプがあります。アルミパイプも同様な用途で利用できますが、イレクターパイプよりも優れた特徴がいくつもあります。ここではイレクターパイプとの比較やアルミパイプの種類について、詳しく紹介しています。


アルミパイプの部品には回転部品やスライド部品などがあるので、

このように動くものを簡単に作ることができます。

問題はこのアルミパイプをどのようにしてキッチンに固定するかです。

壁に直接釘を打ち付けて固定できるような場所もありません。

そこでキッチンカウンターの開口部にアルミパイプを縦に突っ張って固定してみます。

アルミパイプの特徴は突っ張り棒のように使えて、さらに突っ張ったパイプどうしを

自由に連結してつなぐことができる点です。

そこで柱になるアルミパイプを2本突っ張って固定し、その間に他のパイプを連結して

可動するレールを作りたいと思います。

これは以前、キッチンのカーテンをDIYしたときと同じ方法です。


賃貸でキッチン目隠しカーテンをDIY)

 今の賃貸部屋は間取りがとても悪く、リビングに入る扉を開けるとキッチンが全部見えてしまいます。キレイな時は問題ありませんが、そうでないと大変。そこでキッチンを丸ごと囲う目隠しカーテンをアルミパイプで作りました。アルミパイプを突っ張り棒のように使えば、どんな場所にでもカーテンや壁、扉を作ることができますよ。


これで使用する材料やキッチンへの固定方法が決まりました。

次の3D CADを使ってこの可動式物置台を設計してみます。

3. キッチン可動式物置台の設計

アルミパイプを使ったDIYでは3D CADを使って設計することができます。

このソフトはメーカから無料で提供されているので誰でも自由に扱えます。

3D CADを使うことで事前に作る物をあらゆる角度から見て確認することができ、

各部品の寸法や個数なども自動に計算してくれるのでミスが少なくなります。


フレーム、パイプの3D CAD設計)

 アルミフレームやアルミパイプには専用の3D CADが無料で提供されています。そのためこれを使えば作る前に色んな角度から見ることが可能となり、設計ミスが少なくなります。さらに部品の長さや種類、数なども自動で計算してくれるので部品手配ミスや加工ミスも低減することができます。


実際に3D CADで設計した可動式物置台がこちらになります。

物置台は100均で購入しようと思っているので、この図面には反映できません。

2本の柱となるアルミパイプはカウンター開口部分に上下に突っ張って固定します。

そして柱の間の2本のパイプに物置台が載り、この上で自由にスライドするようになります。

スライド機構はCAD図には入ってませんが、スライドコネクタを各パイプに2個ずつ入れて

このコネクタの上に物置台を固定する予定です。

スライドコネクタを使えばパイプに沿って自由に滑って動くことができます。

柱となるパイプの突っ張りは柱の下にある足のボルトの長さを調整することで

上下に突っ張り力を掛けます。

このような便利な部品がアクセサリ部品として準備されていることも良い点ですね。

寸法は幅が約1700mm、高さが足部分を含めて約600mmあります。

これだけ長いとたわみやすく、またモーメント荷重も大きいので補強用のコネクタを使って

耐荷重強度を上げています。

アルミパイプやパイプを連結するコネクタは強度が決まっているので、

事前に想定荷重が判っていれば強度計算をして安全性を確認することができます。

これもアルミパイプの特徴の1つで木材を使ったDIYではできませんね。


(アルミパイプの強度計算)

 アルミパイプの強度は①単体強度、②接合強度の2つを考える必要があります。いずれも強度が想定荷重を上回っていれば安心して利用できます。強度はパイプ径や断面形状によって変わるので用途に合わせて選んでください。


次にここで設計した部品寸法や種類、個数をもとに実際に製作していきます。

4. キッチン可動式物置台の製作

4.1 アルミパイプの切断

まずはアルミパイプの切断からスタートです。

アルミパイプの長さは先ほどの図面から自動で計算されているのでその通り切断します。

アルミパイプの寸法はコネクタとの連結部分や他のパイプとの重なり部分などで

意外と半端な数字になることが多いです。

そのため3D CADで計算してくれると加工ミスが少なくなります。

アルミパイプは金属なので木材に比べて多少加工しにくいです。

しかしアルミは鉄やステンレスなど他の金属に比べて柔らかいので特殊な工作機なしでも

十分に加工することができます。


(アルミフレームの加工方法)

 アルミフレームは木材よりも強度があるので同じ耐久性の物でもコンパクトに作れます。その反面、木材に比べて加工が少し大変で木材ほど簡単に切断できません。そこで様々な工作機やハンドソーで実際に切断して比較しました。その結果、特別な工作機は必要なく簡単に入手できるもので加工できました。


加工したアルミパイプはこちらです。

・ 1700mm  2本

・ 240mm  ツ 2本

・ 550mm ツ  2本

ロータリーバンドソーがあれば10分ほどで全て切断できますが、ハンディソーを使うと

その倍以上の時間がかかります。

4.2 可動式物置台の組立て

次に切断したアルミパイプをキッチンカウンターに組み立てていきます。

まずは左右の柱となるパイプをカウンター開口部に取付けます。

このアルミパイプは開口部の上下で突っ張って固定するため、アルミパイプの片端に

アジャスター足を取り付けます。

アジャスター足の詳しい取付方法はこちらをご覧ください。


アジャスター足の取付方法

 アルミパイプには標準のアクセサリ部品があり、その中にアジャスター足があります。これはパイプの中にナットを固定し、そこに足の付いたボルトをねじ込むことで高さを調整できる部品です。これを使った縦方向の突っ張りパイプはとても便利なのでオススメです。


アジャスター足を付けたら開口部の両端にアルミパイプを設置してボルトを回して上下に

突っ張って固定します。

このときゴムシートなどを間に挟むと滑り止めや傷防止になるのでオススメです。

この突っ張り方法はボルトを伸ばしていけばどこまでの突っ張るので底面と上面の強度は

なるべく強い場所を選んで突っ張るようにしてください。

普通の突っ張り棒とは比較にならないくらいに強く固定できます。

次に柱の間にレールとなるアルミパイプを1本取付けます。

ここでレールとなるパイプの両端のコネクタは自由に位置を調整できるので、

自分にちょうど合った高さで固定します。

このときあらかじめスライドコネクタを2個挿入しておきます。

今度は2本目のレールを取付けるために柱パイプに短いアルミパイプを取り付けます。

このパイプは片持ちとなってしまいコネクタの接合強度が弱くなるので、

補強となるコネクタを下から入れて支えます。

これだけで強度が高くなり、重たい物を載せても耐えれるようになります。

同じようにもう一方の柱にも短いアルミパイプを取り付けます。

そしてこのパイプにレールとなる長いアルミパイプを取り付けます。

するとこのように2本のレールが完成です。

4.3 物置台の取付

最後に物置台を2本のレールに挿入されている4個のスライドコネクタの上に取付けます。

ここで取付方法は取り外しができるようにマジックテープを使うことにしました。

そして物置台には軽くてそこそこ強度があるコルクボードを選定、いずれも100均です。

マジックテープをスライドコネクタとコルクボードの裏に取付ければ完成です。

これで何度も取り外しが出来ます。

意外とマジックテープの裏面についている両面テープが強いため、何度も繰り返し使っても

両面テープが剥がれることはありません。

5. キッチン可動式物置台の完成

まずは気になる可動具合ですが、簡単に片手で左右にスムーズに動かすことができます。

しかもスライドコネクタはがたつきが少ないので、物置台がガタガタ揺れません。

このように1.5m以上の幅を自由に動かすことができます。

これでどこで作業していても物置台を利用できるので大変便利ですね。

次に物置台にタブレットやボールなどを載せてみます。

A3サイズのコルクボードなので十分広く、たくさん物を載せておけます。

試しに大きな白菜も載せてみましたが、全く落ちる様子もなく強度も十分にあります。

ノートパソコンや小型のテレビなども十分置ける強度とスペースです。

また物置台を使わない時は外してフライパンや鍋、布きんなどを掛けておくこともできます。

アルミパイプは水にぬれても錆びないので水回りで使う材料としては最適です。

6. さいごに

アルミパイプを使ったキッチンの可動式物置台のDIYは如何だったでしょうか?

アルミパイプを突っ張る使い方は非常に便利で色んな場所で応用できます。

しかも調整が自由に出来て組立ても非常に簡単!

水にぬれても錆びず、火に触れても燃えないためキッチンでオススメの材料です。

製作にかかった費用も4,000円程度です。

これだけ自由な設計で作ったにも関わらずこの費用であればいいですよね。

アルミパイプを使ったことがないと難しいように見えるかもしれませんが、

そんなことはありません。

特に組立作業は六角レンチ1本で出来る作業ばかりで工具もほとんど必要ありません。

興味があれば御自宅のキッチンでチャレンジしてみて下さい。

この記事が皆さんの参考になれば幸いですね。

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またこれまでのサポート事例はこちら。

 サポート事例集


これまでアルミパイプやアルミフレームで製作した作品はこちらです。


(キッチンの壁収納を製作)

 アルミフレームを使ってキッチンに壁収納を作りました。壁を傷付ける事なく、アルミフレームを突っ張り棒のように固定して他の部品を組み立てていきます。アルミは燃えないので火の回りで使っても安心。しかも100均部品を利用したからくりがあります。右の写真でテーブルがありますが、どこか判りますか?

(脱衣所にコンパクトな収納棚製作)

 住んでいる家の洗面室がとても狭く、家族4人分の着替えや洗剤などを置く収納場所がありません。そこでアルミフレームを使って洗濯機の上やちょっとしたスペースを有効的に利用できる収納棚を作りました。市販品の棚だとどうしても無駄なスペースが出来ますが、自分で設計して作れば最適。しかも100均を利用して費用も抑えました。

(3万円台で作れるテラス屋根)

 住んでいる賃貸住宅には軒や屋根がなく、洗濯物を干したり自転車を雨から避ける場所がありません。そこでアルミパイプを使って幅4mもあるテラス屋根を作りました。特徴は壁を傷付けたりコンクリートを使用せずにいつでも元に戻せること、目隠し壁まで取り付けても費用は4万円台という点です。

(洗濯物を干すサンルームをDIY)

 うちでは何故か長男だけが花粉症です。そのため花粉の季節になると目を赤く腫らして微熱が出るので辛いです。そこで洗濯物を干すためのサンルームをアルミフレームで作ってみました。大きな扉も付けて布団も干せます。ところがサンルーム内の温度は確かに上がりましたが、洗濯物が乾かない!?そこにはサンルームの落とし穴がありました。

(賃貸でキッチン目隠しカーテンをDIY

 今の賃貸部屋は間取りがとても悪く、リビングに入る扉を開けるとキッチンが全部見えてしまいます。キレイな時は問題ありませんが、そうでないと大変。そこでキッチンを丸ごと囲う目隠しカーテンをアルミパイプで作りました。パイプを突っ張り棒のように使えば、どんな場所にでもカーテンや壁、扉を作ることができますよ。

回転式乾燥スタンドをDIY

 サンルームで検討した経験をもとに、部屋干しでもあっという間に乾かせる回転式乾燥スタンドを自作DIYしました。扇風機の風を当てると洗濯物がくるくる回転して万遍なく均一に乾かすことができます。蒸発した水蒸気も効率よく排出し、扇風機だけで乾くので電気代も10円程度で済みますよ。

(パントリーに収納棚をDIY

 高さ2mもあるパントリーには据付の棚がありません。そこで収納棚を作り、上の空間まで無駄なく利用できるようにします。ただ問題はここが賃貸住宅であること。そのため壁に直接ビスや釘は使えません。そこでパイプを突っ張り棒のようにして固定することで10kgの米袋を載せてもビクともしない棚にしました。


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コメント

  1. burubon。 より:

    あけましておめでとうございます。

    可動式で不要な時は取り外せる台、便利ですね^^
    スマホやタブレットだけでなくて、鍋やボウルなども置けるのがいいですね。

    こういったものを設計して制作するまでにだいたいどれくらいの時間がかかりますか??
    結構日にちがかかるんじゃないですか??

    • ma10 より:

      burubon。さん

      明けましておめでとうございます。
      ブログのおいしそうなお節、見ましたよ~
      おいしそうで羨ましい限りですよ

      補強を入れた分、結構な強度が出ましたね、
      今回、強度計算まではしていませんが、結構重い物でもいけそうです。
      実はこれは元旦早々に作りましたが、構想から製作まで1日で十分ですよ。
      これをブログ記事にする方が時間がかかるかな(笑)